感想中に本文ネタバレを含んでいます。
また、個人的趣味に走った感想です。
あしからず。
C01 迷い人の道標
悪夢なのか現実なのかわからない出だしに、ホラーかなと予想しながら読み進めていました。
最初のとっかかりで間違えてたのでよけいになんですが、ラストの落ちで一瞬悩み、もう一度読み直しちゃいました。
そして、二度目でようやく理解。
これ、夢がいわゆる異世界につながったってことか!(違ってたらどうしよう……)
つ、続きが非常に気になります。
これから始まる異世界転生(なんですよね?)のお話が読んでみたいです。
C02 峠越え
おおお、逃亡者!
逃げる彼の冷静さとか焦りとか、ドキドキしながら読みました。
いったいどんな理由で追われてるのかと思ったら、一国を敵に回しての逃亡劇に二度驚きました。
彼にとっては師の存在がなによりも重要で優先すべき宝物だったんでしょうね。
敵である一国を滅ぼすために敵国について、たとえ望みが叶ったとしても、彼に救いは訪れないんだろうとおもいます。
それどころか、勝利の後は師と同じような扱いをされるんじゃないかと思います。
だって、裏切りの経験がある軍師(それも優秀)って、正直危険きわまりないですもんね。
うー、でも、彼にとっては復讐以外眼中にないんでしょうね。
どんな生涯を歩むのか、非常に気になります。
C03 来客御礼
「開ける」という行為が異世界への扉になる、というのはある意味王道なネタだな、と思って読んでいました。
いやいやいや、理由それだけかい!!
主人公でなくとも突っ込みどころなのではないでしょうか。
召喚なんてレアな出来事、なんでもいいからもうちょっとせっぱ詰まった用件に使おうよ。
そりゃあね、客商売はお客さんがきてくれてナンボですよ。ついでに売れなきゃ生活がたちゆきませんよ。
でも、すっっっっっっっっごくもったいない気がするんですが!!
発想力に脱帽です。そして笑わせていただきました。
C04 選ぶべき道
右にいくか左にいくかのやりとりで、ああ、そういう発想もあるんだ、と感心しました。
そうだよね、いくら盗人でも知らない道では仕事しにくいよね、とか。
王道なFTだなあ、と読み進めていましたら。
後半に明かされるかなりせっぱつまった状況、それを打破するところでENDですか!
つ、続きが気になる!! むしろ読みたいです!
ところで、イディス、最初に右の道を提示した段階でその先にある森の正体は知ってましたよね。いじわるだなあ。
C05 sai-ai
最初、ホラーかなと思って読んでいたら、ハードボイルドな刑事ものでびっくりしました。
レトロな雰囲気の描写をふくめて、おもしろく読みました。
友情と恋心と仕事と、いろいろ複雑に入り交じった刑事さんの心境は苦しかったんだろうなあ、と思います。
一応の解決をみたことが、彼にとって救いであればいいなあ。
C06 ワン・ラスト・キス
だんだんとしっかりしてくる主人公の変化がすごくかわいかったです。
自分の足で立って生きていかなければならない状況と、彼への恋心、女の子を強くする要素ばかりですもんね。
それにしても、最初不気味だった御者のおじちゃん(あれ、おにいちゃん?)が、後半イイ人で惚れそうです。
無事国境を越えてもしばらくは、楽しい珍道中になりそうだし。
彼がちゃんと合流できたら、たぶん初々しくぎこちない恋模様な二人にやきもきしてしまうんだろうなあ、とか、想像したらニヤケてしまいました。
C07 おばけの道案内
夏らしいお話でした。
お盆に死者が帰ってくるのを、地域ぐるみで迎えようとしてくれる社会っていいなあ、と思いました。
それもちゃんと案内をしてくれる人がいるからできることなんですよね。
後半、希鈴の心からの願望にぐっときました。確かに道案内役のことばではないけれど、恋心ってそんなもんです。
希鈴のおばあちゃんちの人間関係図がわかりにくかったのでちょっと残念でした。
紗枝ちゃんって、ええと、人間だよね?
C08 妖怪変化花火大会
ちょ、その花火大会はどこでやってますか!! どこに行ったら観れますか!!
是非とも参加したいですその花火大会。
頑張っちゃう鬼火たちのテンションが容易に想像できて、すごく微笑ましかった。
久しぶりに羽目をはずしたってことで、お仕置きはすこし大目にみてあてげてほしいなあ、と思います。
C09 この道の終わり
王道FT、息つまる展開に、はらはらしながら読み進めていました。
運命に引き裂かれる悲恋、うああ、泣ける!
わかっていても覆せない、知っていてもその通りに進む確定された未来、こういうのって切ないですよね。
C10 ラブストーリー
途中まで彼の正体に気づかないまま読んでいました。
告白すると、家出後のお迎えあたりまで、違和感がありつつもわかっていなかったアホです。
わかった上で再度読み返したら、腑に落ちる箇所がたくさん。
伏線に気づかないとこうなります。
ラブくんお幸せに!
C11 ある冒険者夫婦の帰郷
もしかして、と思いながら読んでいて、途中で確信に変わった瞬間、そして答えがわかった瞬間、めっちゃ爽快でした。
いやー、惚れたらとことんな旦那さんが格好いいです。
できれば馴れ初めから一大プロポーズまでの物語も読んでみたいですね。
って、世界滅ぶくらいの強さなんですね、奥さん。
夫婦喧嘩したら悪夢再び! になりそうな気がするので、ぜひぜひ円満な家庭でいてください。
C12 八月の空蝉
重いお話でしたね。
そして白状すると、途中でどっちがどっちやらわからなくなって読みなおしてしまいました。
どんでん返しに次ぐどんでん返し、(一度カンニングしに最初に戻ったけど)、短編の中ですっきり収まる落ちに脱帽しました。
特にラストの三段落ち!!
お嬢様、素敵にかっこいいです。
むしろ、続きを読ませてください!